Hippocampus's Garden

Under the sea, in the hippocampus's garden...

Best Albums of 2012

August 02, 2020  |  7 min read  |  30 views

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「2010年代の音楽を振り返るシリーズ」の続きです。前回の記事はこちら
この頃はまだ高校生で、音楽との出会いは主にラジオ、YouTube、図書館というやや特殊な聴き方をしていました。

10. good kid, m.A.A.d city - Kendrick Lamar

アメリカのラッパーによる第2作。
Kendrick Lamarは、ギャング犯罪が多発するカリフォルニア州コンプトン(N.W.A.などのギャングスタラップで有名)で生まれ育ちました。本作は、真面目なティーンエイジャーだった彼(good kid)が暴力やドラッグが蔓延する街(mad city)で生きることの葛藤を、普段の生活の様子や抗争で死んだ友人の話を交えながら語っています。
『Money Trees』がBeach Houseの『Silver Soul』をサンプリングしているのは、調べるまで気づきませんでした。
歌詞についても、読み込むともっといろいろな発見がありそうです。

Highlights: “Bitch, Don’t Kill My Vibe”, Money Trees, Swimming Pools (Drank)

9. Red - Taylor Swift

アメリカのSSWによる第4作。
それまではカントリー歌手のイメージが強かったと思いますが、今作ではプロデューサーにMax Martin他多数を迎え、ポップ色を強く打ち出しました。
『Everything Has Changed』はEd Sheeranとのデュエットです。

Highlights: I Knew You Were Trouble, I Almost Do, We Are Never Ever Getting Back Together

8. Born To Die - Lana Del Rey

アメリカのSSWによる第2作。メジャーデビュー作でもあり、その成功は彼女の知名度を世界的なものにしました。
彼女の音楽の多くはしばしば”Hollywood Sadcore”と称されるように退廃美をテーマにしており、そこにはFrank SinatraやNina Simoneが活躍した1950年代への郷愁があります。本作にはそのような特徴が最も色濃く出ているように感じます。

Highlights: Diet Mountain Dew, Dark Paradise, Summertime Sadness

7. Lonerism - Tame Impala

オーストラリアのロックミュージシャンKevin Parkerが率いるバンドによる第2作。
音楽性を一言で言うと、「60年代に一斉を風靡したサイケデリックロックを現代の技術で焼き直すとどうなるか試してみた」という表現ができるでしょうか。
音楽的には今の時代のユニークな位置にいるKevin Parkerですが、Mark RonsonやThe Weekndなど他ジャンルのアーティストとも積極的にコラボレーションしているところがまたおもしろいです。

Highlights: Mind Mischief, Feels Like We Only Go Backwards, Nothing That Has Happened So Far Has Been Anything We Could Control

6. Valtari - Sigur Ros

アイスランドのバンドによる第6作。
ボーカルこそついていますが、全体的にポストロックというよりはかなりアンビエントに近い音作りになっています。その透き通った音からは、(まだ見ぬ)アイスランドの大自然の情景が浮かびます。
『Varúð』では本作唯一のギターの轟音を聴くことができます。
なお、曲名と歌詞はアイスランド語です。

Highlights: Ekki múkk, Varúð

5. Babel - Mumford & Sons

イギリスのロックバンドによる第2作。グラミー最優秀アルバム賞。
ブルーグラスないしカントリー風のフォークロックを若手のバンドが演奏するという姿は新鮮で、流行とはかけ離れていても心を掴まれました。
デラックス版にはSimon & Garfunkelの『The Boxer』をPaul Simonと演奏した音源が収録されています。

Highlights: Whisper In The Dark, I Will Wait, Lover Of The Light

4. An Awesome Wave - alt-J

イギリスのロックバンドによるデビュー作。
サイケなコーラスと電子音が特徴的なインディーフォークです。デビューからエキゾチックさを全開にしています。
初めて聴いたときは珍妙な印象を受けましたが、何度か聴いていくうちにその独特な音楽性に引き込まれていきました。そんな中でも『Taro』などは彼らの魅力を感じやすいのではないでしょうか。
ちなみに、『Matilda』は映画『Léon: The Professional』でNatalie Portmanが演じたあのキャラクターのことだとか。

Highlights: Breezeblocks, Ms, Taro

3. Bloom - Beach House

Best Albums of 2010」でも取り上げたアメリカのドリームポップデュオによる第4作。
彼らの作る儚い夢のような世界観はこの2年でさらに磨きがかかり、大きな花を咲かせました。

Highlights: Myth, Wild, Wishes

2. The 2nd Law - Muse

イギリスのロックバンドによる第6作。
イントロから仰々しい『Supremacy』で幕を開け、ダブステップをバラードに昇華した『Madness』やウォール街の取引所の音声を取り入れた『Animals』など、音楽的な実験性とロックバンドらしさを同時に楽しむことができます。
フロントマンのMatt Bellamyは相当のSF好きのようで、アルバムタイトルは熱力学第2法則から付けられています(最後に収録されている『The 2nd Law: Isolated System』では、「In an isolated system, the entropy can only increase」という言葉が繰り返されています)。ジャケットはHuman Connectome Projectのこの画像です。
当時最も聴いていたアルバムです。

Highlights: Supremacy, Madness, Survival

1. channel ORANGE - Frank Ocean

アメリカのSSWによるデビュー作。とはいっても、デビュー前からTyler, the Creatorなども所属するヒップホップグループのOdd Futureとしての活動やKanye WestやJay-Zとのコラボレーションでその才能を知られていました。Odd FutureのメンバーやPharrell Williamsも参加しているということや、セクシュアリティの公表などもあり、リリース前からかなり注目された作品だったようですね。
甘いファルセットとソウルフルな歌声を使い分け、ときにアンビエント、ときにジャジーなバックトラックに乗せていくさまは流石です。歌詞も、コンテクストを理解するのが難しいのですが、小説や映画への参照と言葉遊びを巧みに織り込んであって読みがいがあります。
Earl Sweatshirtとコラボレーションした『Super Rich Kids』は、Elton Johnの『Bennie and the Jets』を想起させるベースのようなピアノにラップを乗せているのがおもしろいです。
恥ずかしながら、Frank Oceanを好きになったのは昨年のことで、いわゆるにわかファンなのですが、この作品は聴くたびに新しい良さを発見するので、1位にしてしまいました。各種メディアが年間ベストに選んでいるのも納得です。

Highlights: Thinkin Bout You, Sierra Leone, Super Rich Kids, Pyramids


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Written by Shion Honda. If you like this, please share!